2012年2月22日水曜日

なぜ君は絶望と闘えたのか?本村洋の3300日


光市母子殺害事件で妻と子供を失った本村洋さんが
一時の気の迷いから勤務先の新日鐵を退社しようと
思い立ち辞表を書いた時に上司は次のように述べたという。
『君はこの職場にいる限り私の部下だ。
そのあいだ、私は君を守ることができる。
裁判はいつかは終わる。
一生かかるわけじゃない。
その先をどうやって生きていくんだ。
君が辞めた瞬間から私は君を守れなくなる。
新日鐵という会社には君を置いておくだけのキャパシティはある。
勤務地も色々ある。
亡くなった奥さんも、ご両親も、君が仕事を続けながら裁判を
見守ってゆくことを望んでおられるじゃないのか』
また、次のようにも述べた。
『この職場で働くのが嫌なら辞めてもよい。
君は特別な体験をした。
社会に対して訴えたいこともあるだろう。
でも、君は社会人として発言していってくれ。
労働も納税もしない人間が社会に訴えても、それはただの負け犬の遠吠えだ。
君は社会人になりなさい』
なぜ君は絶望と闘えたのか?本村洋の3300日 門田隆将著
本村洋 1976年、大阪府生まれ。会社員。福岡県の中学、高専を卒業後、広島大学工学部に編入学。98年、同大学を卒業後、新日本製鐵株式会社に入社(現在、新日鐵住金ステンレス株式会社へ転籍)。99年4月、事件に遭遇。