2012年1月26日木曜日

暗闇で見てはいけないものを見てしまった・・。

LOOTONE ARTWORKS

(ネットからの抜粋です↓)


もう10年以上前の話。

そのころ初めての車を買った俺は、とにかく運転したくて、
一人で夜、ちょっと離れた県の海沿いに、ロングドライブに

出かけた。

何時間か走った深夜、小便がしたくなったんで、人家も無い

ところだったけど、車来たら嫌なんで、更に路地に入って
行って、車を停めてションベンをした。

疲れてた俺は、体を伸ばすついでに、ちょっと散歩しようと

思った。
丈の高い草むらの間の道を、海の方に向かってブラブラ
歩いていると、ゲッゲッという蛙の鳴き声が聞こえてきた。

蛙か~と思って、何となく立ち上まって聞いてたら、蛙の

鳴き声に混じって、ハァハァという人の息づかいみたい
なのが聞こえてきた。
一瞬ビビったけど、もしかしてこんなところで、野外エッチか?
と思った俺は、ゆっくり音を立てないように、そっちに近づいて
いった。

草むらの向こうに、チラッと人影が見えたので、身を

かがめて見やすい位置に移動すると、男らしき人影が、
女の上に乗って動いて本当にやってる!と思って、目を
こらして見たけど、エッチにしては、何か動きがおかしい。
それでよく見てみて、とんでもない事に気が付いた。

男は手に刃物らしきものを持っていて、それを女の喉に
何度も何度も、突き刺してた。
そのたびに女の口から、ゲッゲッという声が出てた。

俺は一気に腰の力が抜けて、そっからはただ見てる
だけだった。

女は手を振り回して抵抗してたけど、こっちから見える手の
指は全部、半分くらいから先がブランてぶら下がってて、
抵抗になってなかった。

それから何度も刺してるうちに、だんだん女が動かなくなって、
男も刺すのをやめた。

その時、別の方からガサガサいう音と、何人か人が来る
気配がした。

誰か来たと思って、俺もちょっと気を取り直して、腰を浮かせ
かけたんだけど「おい、終わったか」って声がしたんで、また
しゃがんでじっとしてた。

他人が通りかかったと思ったけど、男の仲間だった。

いま考えると、他人が通りかかるような場所じゃないんだけど。

危なく立ち上がるところだった。

もしあの時立ち上がってたら、俺はこの世にいなかったと思う。

「派手にやったな」

「お前、服、汚し過ぎだろバカ」とか

「とどめ刺したか」とか

言ってる声に混じって、笑い声まで聞こえてきたんで、
俺は心底ビビって、本当に息を殺してた。

しばらくするとまた人が来る気配がした。

見ると全部で5~6人は人がいた。
新しく来た奴は、映画でよく見る黒い死体袋(?)
あれを持ってきてた。

そっからよく聞き取れ無かったんだけど

「●●…(←俺の車のナンバーの地名のやつ)」とか

「車…黒い…」とか

聞こえてきて、俺の車の事を言ってるみたいだった。

それで一人の奴が「しっ」とか言って全員を静かにさせて、
耳をそばだててた。
俺は心臓が破けそうなくらいバクバクして、とにかく
早く家に帰りたいって、そればっか考えてじっと
動かないでいた。

で、しばらくしたら諦めたみたいで、ゴソゴソなんか
やり始めて、やがて死体袋のジッパー閉める音がした。

水をぶちまける音がしたり、あと何だか知んないけど、
クソの匂いが強烈にしてきた。

そっと覗くと、死体抱えて皆で帰るみたいだった。

俺はとにかく息する音もしないように、じっとしてた。

男たちがいなくなっても、しばらくじっとしてたんだけど、
今度は何台かの車の音が近づいてきて、ちょっと離れた
とこで止まった。

明らかに俺の車の方だった。

車のドアの開け閉めの音がした瞬間、反射的に体が動いて、
俺は車から離れるように、海の方にダッシュした。

せまい砂浜に出てから、横に全力で走って、別の草むらに
入って、腹ばいになってじっとしてた。

そこからだと、車の音ももう聞こえないけど、とにかく
俺はじっとしてた。

携帯も財布も全部、車に置いてきてたから、窓破られたら
身元がバレると思って気が気じゃ無かったけど、とにかく
明るくなるまで、何時間もじっとしてた。

明るくなり始めたら、釣竿持った人が現れたんだけど、
俺は警戒して出ていかなかった。

さらに明るくなってきた頃、犬の散歩の人とかも砂浜に
現れ出したんで、俺もどさくさに紛れて、散歩のふりを
して、やっと草むらから出た。

砂浜をしばらく散歩するふりしてから、車の方に行ってみた。

もちろん昨日の殺人現場の方には、顔も向けないで
歩いてった。

俺の車の後ろには、赤いマーチが停まってたけど、
昨日の奴らの車じゃ無さそうだった。

車は窓も破られてないし、特に変わったところは
無いみたいだった。

その時はそう思った。

それでも念のため、そのまま車の横を通り過ぎて、
そっから何キロも離れた、旅館や民宿がある辺り
まで、歩いていった。

そこで更に時間を潰して、また車の近くの砂浜まで戻って、
怪しい人影が無いのを確認してから、やっと車に乗った。

エンジンかけたら速攻発進して、猛スピードでそっから逃げた。

高速に乗ってから、ようやく落ち着いてきて、サービス
エリアで水を買って飲んだ。

警察に電話しなくちゃって思いながらも、ビビってする
勇気が出ない。
迷いながら車に戻って、気付いた。乗る時は分からなかったけど、
助手席側のドアに30センチくらいガーッと、刃物でつけたような
傷が入ってた。

警察に電話するのはやめた。
それから車には乗らなくなって、車は売った。

数年前に転勤で遠くに引越したんで、もうその海岸のある
県に行く事もない。

今後も行かないと思う。

こういうトラウマ抱えちゃうと、人と話したくなくなるんで、
転勤を機に、以前の友達とは連絡も取らなくなった。
一生この記憶と付き合うのかと思うと、鬱になる。